これまで私は自身のことをあまり忘れ物をしないタイプだと思っていたのですが、最近電車の網棚に荷物を置いたまま忘れてきてしまうことが何度かありました。
気付いた時には大慌てでその荷物を探すことになり、見つからないと分かった時には悔しくて悔しくて堪らない思いをします。
昨年は出張の帰りにワイシャツや下着などの衣類を入れたボストンを空港から自宅までのどこかに置き忘れてしまいました。
そこからの1週間は毎日可能性のある鉄道会社の忘れ物センターに電話をかけ続けましたが、結局見つかりませんでした。
外国人から見た日本は相当親切な国で、財布を落としても中身が入ったまま返ってくると言う話があります。
しかし、私はそのボストンを失くしてしまった経験から、もう日本も決して親切とは言えない国になってしまったと考えるようになりました。
そして、先日またやってしまったのです。
取引先へのお届け物を持って東急東横線の特急に乗り、都内から横浜方面へ向かった日のこと。
まず、終点の一つ前の各駅停車しか止まらない日本大通り駅で1件目の用事を済ませ、2件目に取引先で荷物を届ける予定でした。
網棚にそのお届け物をのせ、これを置き忘れたら大変なことになるだろうなと思いつつ座席に座ったのは覚えていたのです。
にも関わらず、途中のみなとみらい駅で特急から各駅停車に乗り換えたあとの電車の中で、荷物がないことに気が付きました。
その時の喪失感たるや、言葉にはできません。
そのままその各駅停車で終点の元町中華街駅まで行き、荷物を追いかけることにしたのですが、終点に着く少し前のところで反対側の線路を折り返す特急とすれ違ってしまいました。
「その電車の網棚に荷物がー」と叫ぶ程の思いでしたが、悲しいことに実際には何もできません。
各駅停車が終点に着くと飛び降りて、駅員さんのいる改札に走りましたが、こういう時に限って改札がホームから3階も上の階にあるのです。
息を切らして、駅員さんに調査をお願いすると、特急は電車の折り返し発車まで2分しかないので十分な車内確認は行なわないとのことで、その駅に荷物がないということは分かりました。
そして、折り返した特急がその時間に到着するであろう途中駅の駅員さんに電話をかけ、車内の調査を依頼してもらうようにしました。
10分程待って、折り返しの電話がかかってき、荷物は電車の中にはなかったと告げられました。
さらに駅員さんのお話では、忘れ物を拾得した人が交番に持って行ったかも知れないと言うので、駅の近所の交番へ行くことに。
後になって考えるとおかしな話です。
電車の中で発見した遺失物を駅員に届けず、改札を抜けて交番まで持って行く人がいるでしょうか?
しかし、その時は可能性があるのならと、ワラをもつかむ気持ちで交番に行きました。
走り込んだその交番には人がおらず、お巡りさんに来てもらうまでにおよそ15分程、紛失物調査依頼書を書いてもらい、それに署名するまでにさらに15分程。
時間の経過とともに、苛立ちばかりが膨らんでいきます。
その後、終点の駅からひとつ前の日本大通り駅に戻り、そこで1件目の用事だけ済ませ、荷物がないのでそのままオフィスに帰ることに。
元町中華街駅の駅員さんからは、折り返した特急の終点は東武東上線の森林公園駅と聞いていました。
その駅は、神奈川県から東京都を抜け、2時間かけて埼玉県の先の方まで行く電車でした。
しかし、何やかやと時間がかかったため、私がオフィスに帰り着いた頃にはその特急の森林公園駅への到着時刻を過ぎていました。
すぐに東武線の忘れ物お問合せセンターに電話をかけることにしました。
するとなんと、私の置き忘れた荷物らしきものがあるというのです。
詳しいことは森林公園駅の駅員に確認してくれと言われたので、番号を伺い、すぐ電話をかけ直しました。
結局荷物は見つかり、親切な駅員さんが郵便局のゆうパックで送ってくれるということになったのです。
翌日、荷物は戻ってきました。
今回学んだこととして、網棚に荷物を置いてはいけない、そう心に誓いました。
そして、日本はまだまだ親切な国であると認識を新たにしたのでした。
森林公園駅の駅員さん、その後お礼をお伝えできていませんが、その節は大変お世話になりました。
ありがとうございました。