普段、私はあまり忘れ物をする方ではないのですが、大事な時に限ってやってはいけない忘れ物をしてしまいました。
しかも忘れ物をしたということを、数日間気付かずにいたのです。
忘れた物は、弊社にとって大切な来季2018年春夏の新作サンプルの入ったバッグ。
それは先週、ある取引先との打合せにその新作サンプルを持って行った際に発生したようでした。
その打合せの帰りに、大切な物をどこかへ忘れて来ていたのです。
そして今週になり、別の取引先にその新作をご紹介するアポイントメントがあったのですが、そのサンプルがないことに気が付いたのは、オフィスを出発しようとする間際でした。
血の気が引く思いとはこの事です。
オフィス中のどこを探しても見当たりません。
きっと前回の打合せの帰りに忘れてきたのではないかと思いあたったのは、ようやくこの時になってからでした。
アポイントメントまでもう時間がなかったのですが、とりあえず近所の駅である中目黒駅に電話をかけ、忘れ物の届け出がないかを確かめることにしました。
親切な女性が電話応対してくれ、忘れ物をしたとされる日に東京メトロで使用した2本の地下鉄線と3つ駅名を伝え、調べてもらいました。
結局、その電話では見つからないとのことで、応対したご担当者は東京メトロのお客様センターに問い合わせることを勧めてくれました。
そこで気付いたのですが、私が電話をかけたのは東急電鉄のお客様センター内中目黒駅担当者だったのです。
中目黒駅は東京メトロの地下鉄日比谷線と東急電鉄の東横線が乗り入れています。
息をつく間もなく、東京メトロのお客様センターに電話を入れ、捜査をお願いしました。
あまり親切とは言い難い男性オペレータの応対でしたが、私のお伝えした物でのお届けはないとのこと。
そして、その男性は相互乗り入れのある東武鉄道と西武鉄道にも可能性はあるので、そちらへ電話することを勧めてくれました。
そこまででタイムアップとなり、まずはその日のアポイントメントのある取引先に急行しました。
結局その日の打合せでは、新作は事前に撮影した画像によるご案内でお許しいただく以外、他に方法はありませんでした。
帰社後、すぐに電話による捜索を開始しました。
まず、東京メトロのお客様センターに再度落ち着いて電話をかけましたが、私の申告内容での届け出はないとのこと。
そして次に東武鉄道と西武鉄道の両方にかけましたが、同様に見つからずとの返答でした。
しかし、ここで西武鉄道のオペレータが大変親切で、忘れ物の名称を何度も聞き、私が答える内容に沿って何度もデータ検索をかけてくれたのでした。
例え同じ物でも、異なる人で見た物の表現は違い、一つのものはいろいろな言葉で登録される可能性があるからでしょう。
これまでかけた何件かの電話でも一つの名称ではなく、いろいろな表現で捜索の範囲を広げるべきだったことに気が付きました。
そこからまた、東急電鉄のお客様センターからかけ直すことにしました。
偶然、前回話をした同じオペレータが対応してくれたのですが、回答は同じ。
その後、その日に行った郵便局やスーパーマーケットにも問い合わせてみましたが、結局忘れ物は見つかりませんでした。
その時点で午後7時近くになっていましたが、大切な物を失くしてしまった自分を許せない気持ちと必ずどこかにあるという思いで、どうしても諦め切れません。
最後にもう一度、これでなければ仕方がないと決め、一番可能性の高い東京メトロのお客様センターに電話をすることにしました。
東京メトロへの電話はこの日これで3度目となりました。
電話がつながり、「濃い緑色」、「布製」、「30cm四方」、「トートバッグ」、「持ち手のある買い物バッグ風」など外観を思いつくままいくつもお伝えしました。
そうしたところ、該当と思われるものの登録があるようですとの返答をとうとう受けるに至ったのです。
そしてオペレータは、「たぶん間違いないでしょう。」とのことで、地下鉄飯田橋駅の忘れ物総合取扱所に取りに来てくださいと言われました。
夜は午後8時まで受付けとのことでしたので、飯田橋に向けあわててオフィスを飛び出して行きました。
30分程で飯田橋駅構内の総合取扱所に到着し、そこで10分程待った後、私のバッグを保管所から出して来てくれたのです。
結局、来季の新作サンプルは私の元へ戻ってきました。
今回のことで分かった教訓として、忘れ物をした際は「電話を受付けたオペレータはデータ検索をするので、できるだけ多くのキーワードを提供すること。」
「一度ないと言われても、異なるオペレータの対応で検索結果が変わってくるので、何度かトライすること。」の2つを学びました。
さて、こちらが忘れ物になっていた2018年春夏にお披露目予定の新作 no. 3661ドレススニーカー内ハネタイプのブラック(写真上)と no. 3604は外ハネのミディアムブラウン(写真下)です。
どちらもクロコとカーフ(牛革)とのコンビになっています。
これらの新商品に関しましては、後日改めて詳しくご案内させていただきます。
しかし、世界中でも日本のように親切な国は他にないでしょう。
数日前に電車のなかで置き忘れてしまった物が、ちゃんと保管され、電話をかけると探し出して、持ち主の元に戻って来るのですから。