2019年12月29日日曜日

ワインのクロコでミドルカット


ワイン色のクロコでミドルカットをお作りしました。



ミドルカットは、ご注文のみで受け賜わるパターンオーダーの中の一型で、定番としてのご用意はありません。

しかし、このミドルカットはクロコをお好きな方には結構評判が良く、お取扱い先の販売員さんのお一人からは絶対に定番の一型に入れるべきと強くアドバイスをいただく程です。

これまで、ミドルカットでのご注文はホワイトやブラウンではよくいただいていますが、ワインでは初めてでした。



今回のお客様は大変お洒落な方で、このワインのミドルカットをどの様なファッションに合わせてお履きになられるのか、大変気になるところです。



ちなみに、今回はミドルカットと一緒に、ワイン色のクロコのベルトもご注文いただきました。



さて、ワイン色についてですが、「ワインレッド」と言われたり、人によっては「ボルドー」だったり、はたまた「バーガンディー」と呼ぶ方もいらっしゃいます。

実はこれらの3色はJIS慣用色名として、269色の中に個別に規定されている異なった色です。


まず、ワインレッドは「こい紫みの赤」とされた赤ワインの色のことだそうです。

次にボルドーは「ごく暗い赤」で、フランス南西部ボルドー一帯で作られるワインの色。

バーガンディーは「ごく暗い紫みの赤」とのことで、フランス東部ブルゴーニュ地方で作られる赤ワインの色です。

ボルドーは色が薄く、バーガンディは濁った印象があるそうですが、目の前にそれぞれの3色を提示され、どれがどれと言われれば、その違いは分かるかも知れません。

しかし、1色だけ見せられても、それがワインレッドなのか、ボルドーなのか、はたまたバーガンディーなのか、私などには判別がつかないと思います。

更に、これらの3色は元々のワインの色に対し忠実に作られた色ではなく、イメージでそれぞれを定義されたそうです。

よくよく考えれば、それはそうだと思います。

ボルド―で生産されたすべてのワインが同じ色という事はないでしょうし、同じ生産者のものでも、異なる年代によって多少の変化はあると思います。




私どもからは、ボルド―もバーガンディーもすべて含め、お客様とお話する際は「ワイン色」とご案内するようにしています。



お客様からご注文いただく際にお見せする革見本帳には、この様に「WINE」と記しています。
 
 
余談ですが、ワインの原料であるぶどうにはレスベラトロール、タンニンやアントシアニンなど、さまざまなポリフェノールが豊富に含まれています。
 
特にレスベラトロールにはアンチエイジング効果があり、肌のシワやたるみを予防すると言われています。
 
そして、ポリフェノールの多くは色素成分ですので、色が濃いと、ポリフェノールは多く含まれています。
 
赤ワインは果肉、種、皮をまるごと搾ってつくるので、その色が濃いほど、高濃度のポリフェノールが期待できるそうです。

2019年12月23日月曜日

ドレスタイプのクロコスニーカー


こちらはドレスタイプのクロコスニーカー no. 3661です。



今回は、パターンオーダーでのご注文によりご用意させていただきました。



実は、内ハネタイプの no. 3661でブラウンは定番にもある色なのですが、お客様はソールをホワイトでご希望されましたので、パターンオーダーで受け賜わることになりました。



定番の方は、弊社のクロコスニーカーではめずらしく、ソールがブラックなのです。
 


どちらかと言うと、イタリアでは中高年のお洒落オヤジの間でもスニーカーにホワイトソールが流行っており、そういう意味では今回のお客様のご要望も十分理解いたします。




そして、実はこちらのお客様は一度に2足ご注文いただいております。



その2足目も no. 3661なのですが、アッパーのワニ革をブラックにし、こちらもソールはホワイトです。



同じ型の、異なる色で同時に2足のご注文をいただき、私どもは感謝の気持ちでいっぱいです。



こちらのお客様が、今回の2足ともにご満足いただけることを、心から願っています。



これまで、定番スニーカー no. 2979を複数足ご注文いただくお客様は結構いらっしゃいましたが、ドレスタイプの no. 3661を一度に2足というのは今回が初めてではなかったでしょうか。




さて、同時期に別のお客様からも1足ドレスタイプでご注文をいただきました。



アッパーのワニ革をブラックにした外ハネタイプの no. 3604です。



こちらのお客様も弊社のクロコスニーカーを既に複数足お持ちので、ダーミは長く履いていても疲れないと常々言っていただいている、大変有難いお客様です。



製品染めのパターンオーダーでは、ワニ革と内側に使われる牛革を裁断縫製し、組み上げたアッパー革を染料とともにドラムに入れ、グルグルかき回して染色されます。

ですから、製品にして一度洗ったのと同じで、革が柔らかくなり、足に優しいからではないかと思います。



外ハネタイプの靴は、通称デルビーと呼ばれています。

これは、競馬の左右に開くゲートの形が外ハネに似ているからという説と、競馬を創始したデルビー伯爵が履いていた靴が外ハネ式だったからという、私が知る限りでは二つの説が有力です。

2019年12月22日日曜日

製品染めのターコイズブルー no. 2979


こちらは、先日のオーダー会でご注文いただいたターコイズブルーのクロコスニーカー no. 2979です。

実は、今年の3月にもターコイズでご注文いただいた no. 2979をここのブログでご紹介しています。

3月のターコイズと今回のものは、同じターコイズですが、決定的な違いが1点あります。

3月のご注文分はカラーオーダーによるもので、手染めで色付けしていますので、濃淡のあるグラデーションがついています。



一方、今回のご注文はパターンオーダーで受け賜わりましたので、イタリアでドラム染色による製品染めされたターコイズになっています。



今回のものは単色ですが、手染めのカラーオーダー分とはまた違った風合いがあります。

価格も少し違いますが、納期が大きく違います。

カラーオーダーは染色前のワニ革クラストで作ったスニーカーが既に用意されており、かかる期間は染色のみですので、約1カ月。

パターンオーダーはご注文後にイタリアで作り始めますので、お渡しまで約3カ月となっています。




ここでカラーオーダーとパターンオーダーの見分け方をご案内いたします。

まず、カラーオーダーはアッパーの表革に手染めで色を入れていきますが、ライニングと呼ばれる内側の革の色は基本的にオリジナルのベージュです。

一方、パターンオーダーは表革と内革を含め、アッパー革をすべてを組み上げ、底付けする前の製品をそのままドラムに入れ染色するので、全体が同じ色になります。



ですから、ライニングが表のワニ革と同じであれば、ほぼ間違いなく製品染めのパターンオーダーということになります。


皆様、弊社のパターンオーダーとカラーオーダーをお分かりいただけましたでしょうか。

ちなみに、常設の取扱い先で販売中のクロコスニーカーのほとんどが製品染めですので、内革を含めた全体が同じ色になっています。

2019年12月21日土曜日

クロコスリッポン


なぜだか分かりませんが、この数カ月内に行なわれた弊社のオーダー会では、スリッポンのご注文を多くいただきました。

春先のイメージがあるスリッポンですが、お客様がお好きな時にお履きいただくことが重要で、特に季節を限定する理由は見当たりません。

やはり、靴ヒモをほどかずにサッと脱ぎ履きできるところが好まれるポイントでしょうか。

弊社のクロコを使ったスリッポンの品番は no. 3625です。

no. 3625は現在定番でのご用意はなく、パターンオーダーの中の一つとして、お好みの色でのご注文を受け賜わっています。



まず、最初にご紹介するのは「TAN」と呼ばれる色です。



TANは辞書で引くと、「黄褐色」や「日焼けの色」と出てきますが、どちらもあまり良い訳ではないので、TANはそのまま「タン」という名称で良いのではないかと思っています。



あいまいな名称とは異なり、この色はファッションに合わせやすいお洒落な大人色です。



クロコのスリッポンは大手ブランドでも黒や茶ではよくご用意されていますが、タンは他とはかぶらないユニークな色合いで、お客様はとても良い選択されたのではないでしょうか。




次にご紹介する色は、「サファイア」です。

サファイアはこれまでスニーカーの方で短期的にラインナップに加えたことはありましたが、その際は結構好評でした。



スリッポンにも良く合う、ビビットカラーのひとつです。



スニーカーに比べ、弊社のスリッポンは革を大きく裁断し、つなぎめが少ないので、ワニの特徴でもある斑の模様がより強調されます。



また、スニーカーと違い、ヒモを通すハトメの穴や靴ヒモがない分、シルエットがシンプルで綺麗です。



ご覧いただいてお分かりの通り、no. 3625は甲部を一枚で大きく取っており、クロコスリッポンとしての価値は高いと思います。




さて、3足目はレッドですが、この色はちょっとだけ特別です。

こちらのお客様はレッドのグラデーションをご希望されました。



通常、弊社のパターンオーダーはヴィンテージ系ですので、ワッシュタイプと呼ばれる後染め加工でご用意します。

染色前のワニ革クラストを裁断縫製し、アッパー部を先に作り上げ、底付け前の製品をドラムに入れ染色します。

しかし、この場合、単色でのご用意しかできません。



グラデーションをご希望の場合は、染色しないワニ革クラストでスリッポンを先に完成させ、国内で手染めによる染色でご用意することになります。



納期と少し手間が掛かりますが、色使いに特別なご希望がある場合はこの方法しかありません。



お客様に直接コメントをいただくことはできませんでしたが、今回のグラデーションレッドはお気に召していただけましたでしょうか。


私は個人的にはネイビーか濃いグリーンで、オンオフが兼用できるクロコスリッポンを春先に向け準備したいと考えているところです。

2019年12月12日木曜日

ダンサー?

私は以前、外資系のIT企業に勤めていました。
 
その会社に入社すると、営業職と営業技術職は全員一度本社のある西海岸のシリコンバレーに集められ、2週間朝から晩まで近郊のホテルに缶詰状態で研修を受けることになります。
 
私がその研修を受けた時、日本からは同時期入社の4人の新人と一緒でした。
 
ただし、彼らはまったくと言って良いほど英語がしゃべれません。
 
アメリカを含め、世界各国から集められた総勢100名ほどの新入社員がアメリカで研修を受ける訳ですから、もちろん言語は英語です。
 
そして、喋れようが喋れまいが、新入社員達はその研修終了後に試験を受け、合格したらそれぞれの配属先に戻り、仕事ができるようになるのです。
 
日本の企業研修などでは、研修所にホワイトボードを背にした講師がいて、受講者達は彼が話す内容を黙々と聞きメモをとるなど、例外はあれど多くの場合一方通行で知識の提供を受けます。
 
しかし、アメリカでは企業研修に限らず、学校などでも双方向のコミュニケーションで授業を進めます。
 
例えば、講師が「投資家が市場で円を大量に購入すると、円は?」と聞き、誰もがその答えを分かっていても、一人の生徒を指して、「高くなる」と答えさせます。
 
その会社の研修も同様で、もし自分が差されたら、立ち上がってサッと答えなければなりません。
 
研修に参加した日本人は全員、いつ自分の番が回ってくるかハラハラしていたと思います。
 
もし指されたら、「アー」とか「ウー」とか言いながらアホになったふりをしていると、講師は諦めて次の人を指名する場合もあります。
 
そして、まれに異変が起きることがあるのですが、一緒に研修を受けた一人の日本人はある意味勇敢でした。
 
質問はある顧客の満足度を上げるにはどうしたら良いかという類いのもので、大まかな質問内容は投影されていたスライドの絵で認識していたようです。
 
そして、指された彼は言ったのです。
 
「それは、寿司のようなものだ。」
 
当時は西海岸でも寿司が大変人気になっていた時期ではありましたが、「おいおい、ここで寿司の話かい?」という雰囲気で周りは反応しました。
 
「寿司屋はおいしくなければ顧客は増えない。だから、おいしい寿司を準備すれば良い。」と質問には外したトンチンカンな話で締めくくりました。
 
ジョークと受け取ってよいのか迷っている受講生の笑い声と一旦そこだけ一休みのような時間で、彼はその場をしのぐことができました。
 
あとから何人かが私のところへ来て、あの日本人は君の友達かと聞かれた時には少し恥ずかしい思いをしました。
 

さて、その事件は朝食のレストランで起きました。
 
研修の2週間は受講者全員、ホテルのレストランで用意された朝食と昼食を時間内にいただくことになっていました。
 
NFLプレイヤーも常宿にしているようでしたので、ある程度格式のあるホテルで、食事は制服を着たウェイターやウエイトレスによって運ばれてきます。
 
そして、朝食時に日本人のテーブルにウェイターが近寄り、お皿が空になった一人に「Are you done?」とたずねました。
 
「done」は「do」の受身形ですので、「終わられましたか?」となります。
 
更にウェイターは言葉の最後に男性への敬称「Sir」を付けて聞いたのです。
 
Are you done, sir?
 
そうすると、その日本人は席から飛び上がり、目をむいて両手を左右に振りながら「ノー、ノー」と訴え始めました。
 
そして、言い放ったのです、「アイアム ノット ダンサー」と。
 

普通レストランでお客さんにそんな質問はしないだろうと、平常心であれば分かるのですが、彼にとっては食後に近づいて来たウェイターでさえ緊張させる対象だったのでしょう。
 
不謹慎ながら、それを聞いた時、私は大声で笑ってしまいました。

2019年12月10日火曜日

ホームページの更新 2019年12月


ダーミジャパンのホームページが新しくなりました。

ぜひ、訪問してみてください。

http://dami.jp/




今回の主な更新は、New Releaseのページです。

トップに2020年春夏のランニングソールを使った新作 DAMI no. 3613の真横からの画像を配置し、アッパーに使われている3種類の革をお分かりいただける様にしました。



少し下にスクロールすると、2019年秋冬にブラックでご用意したクロコスニーカー no. 3687に、追加の一色としてシルバーをご覧いただける様にしています。



そして、New Releaseページの一番下には、トップ画像でご案内した no. 3613の詳細をお伝えしています。


皆様、こちらでご案内しております今季 DAMIの新作クロコスニーカー、何卒よろしくお願い申し上げます。

2019年12月9日月曜日

ヴォルカニックロックの no. 2979


先々月行なわれた弊社のオーダー会で、パターンオーダーでお受けしたご注文が上がってきました。



デザインは弊社定番のクロコスニーカー no. 2979ですが、色がこれまでになく特殊です。

名称は、ヴォルカニックロックと呼ばれています。



ロックは岩ですが、ヴォルカニック(volcanic)は火山という意味のヴォルケーノの形容詞形ですので、「火山の」または「火山性の」と訳されます。

ですから、この色ヴォルカニックロックは火山岩の色ということになります。



それを踏まえてこのクロコスニーカーをよく見ると、溶岩が冷めて固まった後の色のように見えてくるから不思議です。



ワニ革を使った既にレアな商品ではありますが、更にヴォルカニックロックという特殊な色で染色されていることで、出先などでお客様には話のネタにしていただきたいと思ってしまいます。