2015年5月31日日曜日

お気にのブラックにグレー

靴のビジネスにかかわる立場の割には、日頃あまり靴のメンテナンスに時間を取っていないという反省もあり、今日は自分の靴を並べ、1足ずつ磨いたり、靴ヒモを交換したりしていきました。
一度始めてしまうと、妙にこだわって、小さな汚れさえ許せない気分になってしまい、すべての靴の手入れを終えるまでに結構な時間がかかってしまいました。
 

今回メンテした靴の中で最も気になったのが、この1足です。
グレージングされたワニ革とナッパ(羊革)のコンビのスニーカー、FENNIX no. 3114。
購入したのは3年ほど前になるでしょうか。

ワニ革の部分には、コロンブスさんの「リザード&クロコダイル」という専用クリームを薄くまんべんなく塗り込み、その後きれいに拭き取ると新たな光沢が出てきました。

尚、現在弊社で販売しているDAMI no. 2979などの後染めスニーカーにこのクリームを使うと、工場出荷前にヴィンテージ風に塗り込んだワックスが取れてしまい、せっかくの風合いが失われてしまいますので、お気を付けください。
ヴィンテージ系スニーカーの保湿には、デリケートクリームをお勧めしています。


どちらかと言うと、私のワニ革スニーカーコレクションには派手な色のものが多いのです。
しかし、ブラックはいろいろな場面に使い勝手が良く、販売開始当初からFENNIX 3114のブラックは欲しかった1足でしたが、私のサイズである41は結構売れ筋ということもあり、なかなか自分自身用の購入には至りませんでした。
決断がつかないままでいる内にすべてのサイズ41は売り切れてしまい、40が最後の1足となっていました。
多少小さ目でしたが、その後の3114ブラックの生産も未定でしたので、結局そのサイズ40を購入することにしました。
履き始めた当初は気のせいもあったのか、時々窮屈さを感じていましたが、しばらく履いているといつの間にかそれも気にならなくなり、逆に40が自分のサイズの様に思えてきた程でした。

今日、このスニーカーを磨いていた際になぜそうなったか、やっと気が付きました。



大きく言ってしまえば、靴は足を包む袋のようなものです。
要は足がその靴の内側の容積の中に入ってしまうのであれば、多少縦横のどこかに無理があっても靴の方が調整してくれるということでした。
このスニーカーの前部両サイドに使われているナッパ部分が私の足の形に膨らんでいたのです。

さて、この3114にはブラックのワニ革とブラックのナッパが使われていますので、当初はブラックのシューレースが付いていました。
それをちょっと目立とうという試みで、1年ほど前に赤いシューレースに交換していました。
そして、今回それをグレーに替えてみました。

この組み合わせが何故かとても気に入ってしまいました。
ヘビーローテーションになりそうです。

2015年5月26日火曜日

フタバヤ靴店のタペストリー


この写真は銀座の並木通り沿いにある銀座フタバヤ靴店の店頭ウィンドウです。



今月の中旬あたりから、DAMI no. 3575と3576が大きく印刷されたタペストリーを展示しています。

適切な名称が分からなかったので、タペストリーと書いてしまいましたが、これ、タペストリーと呼んでよかったのでしょうか。

2015年5月24日日曜日

二つのいいこと

先週と今週末にそれぞれ異なる百貨店で展示会を行ってきました。

先週は地方で、金土日の三日間。
今週末は、急きょお声掛けいただいた都内で土曜日だけの一日。

それぞれの展示会で一つずついいことがありましたので、ご報告したいと思います。

まずは、先週末の3日間の展示会でのことです。
地方の百貨店で、通常は弊社商品のお取扱いのない販売先でしたので、お客様はこの3日間を逃すとしばらくご購入のタイミングがありません。

それは3日目最終日でのことでした。
お一人の女性が弊社の展示スペースにお立寄りになられ、ご主人様のために1足ご購入になられたいとのお話をされました。
私は感動してしまいました。

弊社の主製品はワニ革という高級素材を使ったスニーカーですので、決して安価なものではありません。
お客様がご夫婦で私どもの展示会にご来場いただいた場合、お気に入りいただき、カッコ良いから購入したいと言われるご主人様に対し、私のこれまでの経験では奥様から肯定的なご意見をお伺いしたことはあまり多くなかったように思います。
ご主人様の中には、そういう奥様のリアクションを事前に予想されてか、奥様とご来場された後にこっそりお一人で戻って来られ、内緒でご購入されるということもあったようです。

しかし、先週末にお一人で来場された女性はワニ革スニーカーを見て、きっとご主人様がお気に入りになると思うので購入したいとおっしゃられました。
たまたまご主人様はご多忙で、その日は来場のご都合がつかず、色などのお好みが分からないとのことで、何とか後日ご主人様に商品をお見せする機会を作って欲しいとのお言葉を残し、会場を後にされました。

その奥様のやさしい気持ちに触れた様な気がしました。
 

二つ目は今週末に都内で行われた展示会でのことです。
こちらも常設の販売のないお取引先で、急に決まったイベントでしたので、お客様への事前告知などはまったくありませんでした。
その日偶然ご来店いただいたお客様の目に止まり、お気に入りいただければご購入いただけるかどうかという状況でした。

そうした中、ワニ革スニーカーを履かれたお一人のお客様がご来店になられました。
もちろんそこに弊社の展示があるということはご存じない上でのご来店だったのですが、弊社のスニーカーを既に複数足お持ちになっておられ、カジュアルはそれらしかお履きにならないとのお話をお伺いしました。
その日は2010年頃に主に販売したFENNIXラインのスニーカーを履いていらっしゃいました。
その靴は4、5年前にお買いになられたという計算になりますが、大切にお履きいただいているようでした。

残念ながらその方とは私が直接お会いした訳ではなかったのですが、とてもいい出会いをしたような気分になりました。

2015年5月23日土曜日

LEON 7月号 2015年


本日5月23日発売のLEON 7月号に、ワニ革靴 DAMI(ダーミ)3575ダークブラウンと3576ブライトンブルーの広告が掲載されています。
この広告画像を使うのは、今年になって2度目になります。

今回の広告掲載ページは裏表紙の裏面で、業界で「表3」と呼ばれるスペースです。

ちなみに表紙の裏(表紙を開いた1ページ目)を「表2」と呼び、この場合見開きと呼ばれる開いた2ページ全面を使う場合が多いようです。
掲載費用も表2の見開きは、他のスペースに比べ跳び抜けて高いようです。
そして、裏表紙を表4と呼びます。

今回は、弊社が最初から望んで表3にしてもらった訳ではありません。
発売された雑誌を確認し、初めて知りました。
どこにあるのかと掲載ページを探す中、なかなか出て来ないと不安に思いながらページをめくっていくと、最終ページにようやく出てきたという次第でした。

表3は良いスペースだと言われる方がいらっしゃいます。
しかし、表3が本当に良いのかどうかは良く分かりません。
前回表3にしてもらった際、多くの関係者が広告に気付いていなかったということがあったからです。
ひょっとして、最終ページまでたどり着かなかったということでしょうか。

さて、今回はどれくらいの広告効果があるのか、ちょっと心配です。



2015年5月19日火曜日

3575ダークブラウンのブラックソール その2

5月6日のブログ記事で、ワニ革靴 DAMI 3575の白いアウトソールをブラックソールに付け替えをしていますというご案内をいたしました。 
 

 先日、ようやくソール交換したものが届きました。
こちらが完成品です。

販売開始当初は、カジュアルでもお履きいただけるようにと、アッパーのダークブラウンに対し、靴ヒモとミッドソールを赤にしたり、ラバー製のアウトソールを白にしました。
しかし、このようにソールをブラックにしても決して悪くないようです。
カジュアルでと申しましたが、これだと濃いめのちょっとしたスーツにも十分に合わせられるようになったと思います。



お間違えのない様にきちんとお伝えしておきますと、現在、DAMI 3575のラインナップにブラックソールのものはありません。
標準品のホワイトのアウトソールをブラックのものに交換すると、今回このようになりましたというご案内です。

ですから、まずDAMI 3575をご購入いただき、履いている内にホワイトのアウトソールが擦り減ったりで交換が必要になった際、ご選択の一つにブラックがあるというのが理想的ではないかと考えています。



尚、このソールの交換手順としまして、まず最初にアウトソール部を切り取ります。
赤いミッドソールの底部にEVA製の白い部分が残らないようにきれいに削り落とします。
その後にミッドソールの下に新しいソールを取り付け、エッジをこの靴のサイズに合うように切り揃えます。
その際に、ミッドソールの赤が少し消えてしまいますので、新たに同色のインクを作り、ミッドソール部だけ塗り直し、完成です。

と言うことは、靴ヒモの色とは合わなくなりますが、赤以外の色で作り直せるということです。
もし赤に飽きたら、修理の際にミッドソールだけ別の色でご用意ができるということになります。

2015年5月12日火曜日

腕時計と靴

ある文献に「資産家は腕時計と靴に良いものを持つので、腕時計と靴を見れば、その人が資産家かどうかが分かる。」というようなことが書かれていました。
そして、その文献の筆者がそれを検証するために、資産家を対象に調査を行ったそうです。

結果として、ほとんどの資産家は高価な腕時計を持っているけれども、その約半数は靴にはあまりお金をかけていなかったそうです。
大きな理由として、高額な腕時計には資産としての価値があり、逆に靴は消耗品だからとのこと。
また、時計はチェックされやすいが、人が履いている状態ではその靴がブランド物の高級品かを判別するのが難しいからだそうです。

ということは、多くの資産家はまず始めに時計に良いものを持ち、更に余裕のある資産家が次の段階として、目立ちにくい足元にもお金を使うという順番になるのでしょうか。
もしそうであれば、時計を見るよりも靴を見た方が、その人が本当の資産家かどうかが分かるということでしょう。

資産家でなくても、隠れたところにも気を使うと言うのは、どの道カッコいいお洒落だとは思います。


さて、私どもの本社はヘンロン社のワニ革を供給するイタリア国内の総代理店であり、またその豊富に保有するワニ革の在庫を使って、靴を作っています。



先日、本社内の染色工場でこんなものを見つけました。
金色に輝くワニ革です。

いつの日か、個人的にこの革を使って靴を作ってみたいと密かに狙っています。
しかし、このワニ革で作った靴ならば、足元だからと言って目立ちにくいということはまずないでしょう。




2015年5月6日水曜日

3575ダークブラウンのブラックソール その1


こちらの靴は、今年販売を開始した弊社期待のDAMI 3575ダークブラウンです。

この靴は、スニーカーとドレス靴の中間をねらった新たな位置付けのスタイルです。
と言うのも、スニーカーはアウトソールと地面との摩擦を最適に保つためにラバーを使用しており、語源は英語の"Sneak"(忍び寄る)から派生したものです。
以前はスニーカーを運動靴と訳されていましたが、最近はファッション性の高いものも増え、多くをシンプルに運動靴とは呼べなくなっています。



この3575の構造は、アッパーのワニ革と白いアウトソールの間に靴ヒモの赤と同色のミッドソールを持っています。



アッパーのワニ革とこのミッドソールはマッケイ製法で縫い合わせてあり、そしてその下にEVA製のラバーソールが付いています。
構造的分類でいけば、DAMI 3575はスニーカーと呼ぶべきかもしれません。

相対し、アッパーの革を裁断するための型紙はドレス靴のものです。
スタイル的には、つま先革の部分にミシン目や飾りのないプレーントゥと呼ばれるもので、靴ヒモ通し穴のある腰革が中央部で開く外羽根タイプです。

ワニ革を使ったドレス靴は、大手靴メーカー各社では自社のコレクションの最高位に位置づけたものとして販売されています。
しかし、それが高級素材の分、ユーザの購入意欲を低下させるに十分な程、その価格は高額になります。

そして、ワニ革のドレス靴をお持ちであったとしても、合わせるファッションが簡単ではなく、履く機会が限られるということがあるかも知れません。
弊社イタリアのスタッフは、ワニ革ドレスのダブルモンクタイプをあえてジーンズに合わせることもあるそうですが、これはレアなケースでしょう。

では、ワニ革靴がスニーカーのような機能性と、広めのファッションに対応できる多様性を持ち、価格も抑えたものでご用意できれば。
そう言ったご要望にお応えできるものをと開発されたのが、DAMI 3575です。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、ここからが今回の本題です。

DAMI 3575は、今年の1月から一部のお取扱い先で販売が開始され、有難いことにこれまで既に少なくない足数をご購入いただいております。

しかし、上段でご説明した商品特性をお気に入りいただいたお客様の中にも、白いソールに抵抗をお持ちの方が少なからずいらっしゃることが分かりました。

ワニ革靴にファッションの多様性を高めるために採用したホワイトソールですが、それがお客様の個性に合わない場合もあるでしょう。
お取扱い先で伺った話では、「ソールが黒だったら買ったのになー。」というお声が結構あったそうです。


先日、お世話になっている修理職人さんと修理についてお打合せの時間を取ってもらいました。
その際、EVAのラバーソールにビブラム社製のブラックがあり、DAMI 3575のホワイトソールと交換修理ができることが分かりました。
できるものなら1足やってみようかということになり、早速取り掛かってもらうことにしました。



こちらは3575の画像をプリンターで印刷し、白いソール部をマジックで黒に塗ったものです。
イメージを見てみたかったのですが、そんなに悪くなさそうです。

来週にはDAMI 3575ブラックソールが完成しそうです。
出来上がり次第、このブログ内でご案内させていただく予定です。