外出自粛期間中に時間があったからか、ウチではぬか床を買ってきて、自家製のぬか漬けを作るようになりました。
オーソドックスにきゅうり、大根、人参を漬け、それらを切って並べると、鮮やかな色で食卓を飾ります。
気付くと、ウチではお漬け物もイタリア国旗と同じトリコロールになっていました。
野菜はぬか漬けにすることによって、熟成し、保存性を高め、風味が良くなり、更には健康に良い発酵食品となります。
こう言った漬け物は、我が国の食文化には欠かせないもののひとつです。
さて、その漬け物は日本特有の食品ですが、ヨーロッパでは同様にキャベツを漬けたザワークラウトがあります。
発酵による乳酸からの酸味が生じることは漬け物と同じですが、ザワークラウトはソーセージなど肉料理の付け合わせになることが多く、献立の中で漬け物とは位置付けが異なります。
なによりも日本の漬け物に近いものを感じたのは、一時期長く滞在したフランスでのことでした。
きちんとしたレストランにご招待などされると、まずアペリティブと前菜から始まり、メインディッシュが終わると、デザートの前に大きなトレイに乗って複数種類の「それ」が出されてきます。
その中から1種類(人によっては複数種類)選択すると、給仕さんが1人分を切り分け、自分の前のお皿にサーブしてくれるので、その場では「それ」だけをいただくことになります。
最初の頃は、なんで「それ」がこのタイミングで出されるのか?と不思議な思いでいました。
ピンと来た方もいらっしゃると思いますが、「それ」とは「チーズ」のことです。
しばらくして、フランス人との会食にも慣れてくると、日本の食卓に出てくる漬け物の代わりがフランスではチーズなんだという思いに至り、ようやく合点がいきました。
素材や形は変わっていても、その場にそのタイミングで出てくるべき食材は異なる国でもそれぞれにあるのだと感じたものでした。