2021年6月27日日曜日

ヒマラヤのレポート用紙バインダー

私どもダーミジャパンは、基本的にはワニ革を使った靴とバッグのメーカーです。

バッグに関してはフルオーダーでご用意しますので、デザインの作成から始めます。

また、対象がバッグでない場合でも、いただいたご要望には可能な限りお応えしています。


さて、今回のお客様のご要望は、表紙にワニ革を使ったレポート用紙用のバインダーでした。

更に、使用するワニ革について、ヒマラヤというご指定で受け賜わりました。

ヒマラヤと言えば、パリのトップブランドが手掛けるバッグの中でも最高峰のモデルに使用されていることで有名です。

他のワニ革に比べ、原皮の加工工程が特殊で、後処理でキズなどを隠すことができず、元から綺麗な一級品のワニ革を使用することから、値段は高めになります。



まずは、弊社のオーダーメイドバッグの製作工程と同様に、お客様のご要望をデザイン画に描き、商品を具現化していきます。

バインダーの基本構造は二つ折型で、開いた外側の面を一枚革のヒマラヤにし、更に内側の片方にヒマラヤの革を貼り、レポート用紙を挟めるようにします。




製作前に一度仮材を使った仮縫いモデルを作り、本製品の製作工程をシミュレーションします。

本来はお客様に仮縫いモデルをお見せし、ご承諾をいただくのですが、初めてのお客様ではなかったので、ご信頼いただき、今回は仮縫いモデルをお見せすることなく、最終製品に着手しました。


今回のレポート用紙バインダーの製作にあたり、一番の難問は、適正サイズのヒマラヤクロコを入手することでした。

部材が揃ってしまえば、構造は比較的にシンプルですので、製作にあまり時間はかかりません。


二つ折のバインダーを広げた時の外側は、ワニ革の中心部をあてた一枚のヒマラヤです。


内面の右側にも外面と同じ革を縫い合わせています。


そこにレポート用紙を挟み込みます。


普段は折りたたんでいますので、この様な状態です。


良い感じに上がりました。

国内で作られるレポート用紙バインダーの中でも、これほどのものはあまりないと思います。

お客様にはぜひ人目につくところでお使いいただき、見た方々を驚嘆させて欲しいと、私は個人的に願っております。

2021年6月17日木曜日

三越日本橋本店 紳士靴売り場Gケース内展示

三越日本橋本店は、クロコスニーカー DAMI(ダーミ)の都内常設販売先3店の内の1店です。


本館2階では、時々演奏されているパイプオルガンを正面に見て、右側に紳士靴売り場の一部として、クロコスニーカーが入ったガラスケースが設置されています。


3つの棚の一番上の段には、①クロコスニーカー no. 2979のホワイトと共に、no. 2979のオリジナルの紙型が展示されています。


2段目の棚では、左から2番目に② no. 2979 ダークグレー。

そこから右に③ no. 2979 レッド、④クロコドレススニーカー no. 3604 ブライトンブルー(外ハネ式)、⑤ no. 3661 ブラウン(内ハネ式)が並んでいます。

これら①~⑤までは定番ですので、サイズをご確認いただけましたら、商品は在庫からご用意いたします。


一番左の⑥も、内ハネ式のドレススニーカーですが、こちらはパターンオーダーでお受けするグリーンです。




一番下の棚にはパターンオーダーでお受けするクロコスニーカーのいくつかをご案内しています。

右から⑧ no. 2979 オレンジ(スニーカー)、⑦ no. 2979 イエロー(スニーカー)、⑨ no. 3625 サファイア(スリッポン)。

⑩ no. 3389 ファンゴ(ミドルカット)、⑪ no. 3389 ネイビー(ミドルカット)が並びます。

これらパターンオーダーでは、どの型でも24色からお選びいただけます。

ご注文いただけましたら、イタリアでお作りしますので、およそ3ヵ月程お時間をいただき、お届けとなります。

お気軽にお声掛けください。

2021年6月12日土曜日

クロコのカブセトート その2


弊社でオーダーメイドのバッグを受け賜わる際は、まずお客様のご要望をデザイン画に落とし込みます。

初回のお客様との打合せではテーブルデッサンレベルのものを描いていくのですが、よくお話をお伺いし、後日清書したデザイン画とそのバッグ製作にあたってのお見積りをご用意いたします。

デザイン画がお客様のご要望に至っていない場合は、デザイン画を修正していきます。

また、初回のお打合せ後、お客様ご自身でもアイデアが膨らんで、追加のリクエストを思いつかれることもありますので、それらをまとめ、デザイン画を完成させます。


バッグの最終仕様が確定したら、仮材を使った仮縫いモデルを作製します。


これは、お客様にサイズ感や使い勝手をご確認いただくためです。

そして同時に製作サイドにとっては、仮縫いモデルの製作工程がそのバッグをどの様に作り上げて行くかというシミュレーションでもあります。


お客様から仮縫いモデルにご承諾をいただけましたら、最終製品の製作が開始されます。

デザイン画、製図、仮縫いモデル、部材を工房に持ち込み、お客様のご要望を正確に職人さんに伝え、製作に着手してもらいます。

デザイナーがデザイン構成と部材をすべて準備して持ち込むので、職人さんには高いレベルの生産技術を求めます。

弊社では、国内でもトップクラスの職人さん複数名に製作を依頼しています。

箱型や袋型などそれぞれにお得意な領域があり、また異なる製造設備を保有されていますので、バッグのタイプによって、異なる職人さん先に製作を振り分けます。

お客様からお伺いしたご要望を一人のデザイナーが直接職人さんに伝えますので、より正確な情報でバッグの製作が進行します。



そして、世界にひとつしかないお客様のバッグが出来上がります。


 私どもはクロコで作るバッグの専門業者ですが、他の素材での製作もお受けしています。

ご自身だけのオリジナルでバッグをお作りになりたいとお考えのお客様がいらっしゃいましたら、ぜひご要望を伺わせてください。

2021年6月10日木曜日

耳の穴をかっぽじって

シャワーを浴びた後、私はティッシュペーパーでまず目がしらを押さえ、そして次に耳をホジホジします。

ティッシュをのせた小指を耳の穴に挿し込み、中に入った水気を取り除くのです。

そのティッシュで最後に鼻をかみ、ゴミ箱に投げ入れます。

更に違和感が残る時には、綿棒で耳の穴を一回くるっとかき回します。

このルーティンのおかげで、私の耳の中は常に清潔だと思います。

柔らかく表現したかったので「ホジホジ」と書きましたが、「ほじる」の同義語のつもりです。

「ほじる」には、「つついて穴をあけたり、穴の中からかきだしたりする。」という意味がありますが、まさに耳をほじっているのでした。


そう言えば、私が小学生高学年の頃、口の悪い担任教師が「耳の穴をかっぽじってよく聞け」と時々言っていたのを思い出します。

遊び盛りで言うことを聞かない小学生をしかる時、このフレーズが飛び出してきていたように記憶しています。


しかし、「かっぽじる」って何でしょうか?

調べてみると、かっぽじるは引っ掻くの「掻く(かく)」と「穿る(ほじる)」を組み合わせて、よりその意味を強調させる言葉だそうです。

ですから、「耳の穴をかっぽじってよく聞け」というのは、耳の穴に詰まった垢をかきほじって取り、よく聞きなさいという意味で、それくらいしっかり聞き取れという例えです。


べらんめえ口調でテンポの良い言葉が好まれた江戸っ子が啖呵を切る前に「よく聞きなさいよ。」という意味で威勢よく発したのが始まりの様です。

しかし、「かく」と「ほじる」で「かっぽじる」とは、日本人を長くやっていますが、いまのいままで知りませんでした。


ところで、気がかりな事がひとつ。

毎朝晩のシャワーのあとにティッシュで耳をほじっていると、長い年月の間に耳の穴が少しずつ大きくなり、届かなかった更なる奥へ届いているようで、大丈夫かなと心配になったりします。

鼻の穴が大きくなると人相が変わってしまいそうで嫌ですが、耳の穴だったら見た目にはあまり影響はないようにも思います。

それこそ人の話がより聞こえるようになって良いのかも知れません。



2021年6月1日火曜日

クロコのカブセトート その1


何ともすごいバッグが出来てきました。

クロコダイルを使い、天面がカブセに覆われたトートバッグです。

バッグは全体的に固めで、頑丈に作られています。

使用したワニはポロサスと呼ばれる、比較的に斑の模様がキレイにそろったスモールクロコ。



今回はお客様に日を分けて何度も販売店を訪問いただき、ご希望をひとつずつお伺いすることで仕様が固まっていき、作り上げると結果としてこの様に仕上がりましたというバッグです。



このバッグを象徴する中央のベルトはゴツゴツとした背ワニを使用しました。

このベルトと胴部のワニ革は元からブラックで、


カブセ部は中央の明るいコバルトブルーが左右外側に向け少しづつ濃くなり、やがてブラックになるというグラデーションになっています。

バッグ表面(おもてめん)の中央ベルト挿しの上には、お客様のお名前を彫り、ニッケルメッキを施した真鍮製のプレートが取り付けられました。


染色前のクラスト状態のポロサスを調達し、カブセ部と持ち手部を先にブルーに染め、バッグを完成させた後にグラデーションを付けました。



カブセ部とつながった背面も同様に、ベルト部以外はブルーで作製し、


最後にこの様に濃淡を付けました。



横から見ると良く分かるのですが、頑丈なバッグにするために、このバッグの底辺四角(よすみ)にはまる様に、織り込まれたワニ革が縫い合わされています。



底部にはカブセと同様の染色を施したひし形のワニ革が中央に貼り付けられています。

そして、両サイドに3つずつと中央のひし形部に5つ、合計11個の大きな底鋲が取り付けられています。



ベルトを取り外し、上から見ると、カブセ部のきれいなグラデーションが分かります。



通常では見えない内側の革は、ゴート(ヤギ革)にお客様のご希望でオレンジに近い濃いイエローを特注でご用意しました。

ポケットにはグリーンのゴートで縁取りされています。

画像では見えていませんが、ファスナーを開くとその中はコントラストの効いた赤になっています。


お客様と販売店のスタイリストさんとデザイナーの3人で何度も打合せを持ち、仕様策定には相当な時間をかけましたが、お好み通りのクロコカブセトートが出来上がりました。

私はその場に立ち会っておりませんが、完成したバッグをお届けした際は、お客様には大変ご満足いただけたそうです。