明日、お取引先で数名の販売員さんにダーミのクロコスニーカーについて、ご説明することになりました。
ダーミの商品説明に入る前に、「ワニ革はなぜ高額なのか」というお話をしようと思い、その内容を簡単にまとめてみましたので、ここで皆様とも共有させていただきたいと思います。
まず、ワニ革はなぜ高額かという大きな理由の一つとして、流通が制限されており、絶対数が少ないので希少価値が高いと言うことがあります。
なぜ流通が制限されているかというと、ワニは絶滅危惧種として、ワシントン条約で保護されているからです。
条約でそれらを大きく分けると、2種類に区分けされ、規制されています。
一つは付属書 I(Appendix I)と呼ばれる種で、絶滅の恐れがあり、取引きはできません。
もう一つは付属書 II(Appendix II)で、現時点では絶滅の恐れはないものの、規制をかけないと絶滅の可能性がある種です。
付属書 IIに属するワニ革は、輸出側の行政機関(日本で言えば経済産業省)がCITESと呼ばれる輸入許可書を発行することで、国際取引が可能となります。
元々数が少ないところに更に規制がかかり、供給量が少なくなると、宝石などと同様に値段は上がります。
ワニ革がなぜ高額かの二つ目の理由として、飼育方法に手間と時間がかかるということがあります。
革が取り引きされるワニのほとんどは養殖で、ワニが生息できる気温や環境は限られており、養殖場では空調や水温まで細かな管理が必要です。
そして、高級な革として販売するためにはそれらのワニを集団で育てることはできません。
ワニは戦闘動物なので、集団で育てるとケンカをしてしまい、お互いにキズを付け合うと、その革の価値は下がります。
ワニ革は一級、二級などその等級の選別には、キズの有無が大きく影響します。
ですから、高級な革にする場合、ワニを一頭づつ個別のプールで育てなければならないのです。
製品として多く使用される横幅が30cm台に育てるまでに、およそ3年程かかります。
大きめのバッグなどに使われる横幅50や60cmのワニに育てるには何十年も必要と言われます。
尚、大きく分けたワニの種類は次の五つで、流通量もこの順番です。
ミシシッピーワニ(アリゲーター)、ナイルワニ、シャムワニ、ニューギニアワニ(ラージクロコ)、イリエワニ(スコールクロコ)
三つ目の理由は、ワニ革となる前のなめし技術や染色工程に専門的な知識が必要で、元々限られた流通量を加工する工場の数が牛革など他の皮革に比べ少ないこと。
加えて、最終製品の作製にあたっては、縦長の限られた面積からの採り都合、また表面の凹凸と丸や角の斑(ふ)のある特殊素材の裁断や縫製に、専門職人の技術が必要なこと。
これらが、製品価格を押し上げます。
こう言ったハードルを越えて製品となった靴、バッグや革小物。