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こちらがそのブリーフケースです。
胴部の片側面とその反対面のワニ革は、サイズが同等の2体のワニの同部位が使われているということは前回ご案内したブリーフケースと同じです。
では、何が異なるかと言うと、大きくは次の二つになります。
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一つは、使われたワニ革がマット仕上げのものということです。
前回お伝えしました通り、グレージング仕上げのワニ革は光沢を持ちますが、相対しマット仕上げのワニ革は光沢のないものを指します。
だからと言って、マットでお納めしたワニ革のバッグや財布、小銭入れなどの小物類がずっとマットで光沢のないままかというと、そうではありません。
マットのワニ革で作られたものも、使っていくうちに少しづつ艶が出て来るのです。
お使いになられる方によっては、マットで使い始め、独自の味のある光沢を持ち始める過程が好きだとおっしゃいます。
私が今使っている二つ折りの財布などは最初はまったくのマットだったのですが、ここ何年か使い倒しているうちに渋い艶が出てきました。
これは、ワニ革という高級素材でできた商品をご購入になられたユーザーだけが持つことのできる特典です。
お店や展示会などで、販売担当者が商品をさわる際に白い手袋をつけるのはこのためでもあります。
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グレージングのワニ革は最高の光沢を放つ状態でとても綺麗です。
逆にマットは光沢のない落ち着いた風合いが、そこからじわじわと自分流に変化していく楽しみがあります。
またそれとは別に、マット仕上げのワニ革を艶が出ないようにそのままでうまく使っていきたいという方もいらっしゃるかも知れません。
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さて、二つ目の違いはその作りにあります。
よく見るとお分かりいただけると思いますが、このブリーフケースの胴部は一枚のワニ革で作られています。
縦は天面中央で分けられたファスナー部から底部まで、また横は側部のマチの巾はとってあるものの、革は横のファスナーのつなぎ目から胴部を通って反対側のファスナーまでつながっています。
ですから、このブリーフケースは胴部片面1枚、反対面1枚、底部1枚の革3枚で縫製されたものなのです。
持ち手の付け根部に使われている金具は黒い革のマット調に合うように個別にメッキをかけ、ファスナーもそれと同色のマットのものを選択しています。
さて、現在個人的に使用しているブリーフケースが傷み始めてきました。
そろそろ新たなものを作ろうかと考えています。
次のバッグは、外で持ち歩くと、見た方々が「それと同じものが欲しー。」と言っていただけるようなものを作りたいと思っています。
そして、もし本当にそう聞かれたら、こう答えます。
「自分用の特注で、これ売ってるところないんっすよ。」
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