2015年12月30日水曜日
2色使いのワニ革縦長トート
すごいワニ革トートバッグが出来上がってきました。
これまで、トートやブリーフケースをお作りする際は、2枚の同サイズのワニ革を入手し、片面に一枚ずつ使うことでバッグのどちらの面にも同じような斑の模様を実現するようにしています。
ワニという獰猛な動物が、ある程度の大きなサイズに育つまでには何十年という時間が掛かり、その間に胴体に傷が付かないというのは、なかなかレアなことです。
ですから、市場に大き目でキズのないワニ革はあまり流通しておらず、それを同じサイズで2枚ご用意するというのは、更にレアなことです。
結果として、大型でキズの少ない良質のワニ革原皮は高額になり、それを使ってバッグを作るということは、必然的に最終価格に大きく影響します。
さて、弊社ではお客様のご要望に基づき、オーダーメイドでワニ革のバッグをお作りしています。
高級素材を使った高額のバッグをゼロからお作りしますので、せっかくならお客様ご自身のご希望を反映させ、他ではなかなか手に入らないものをお作りになりたいというお気持ちにお応えしています。
それは、バッグの種類やサイズだけではなく、内部のポケットの有無やその位置など細かなご希望もお受けします。
そして、最大の魅力はそのバッグの色についても、ご希望通りにご対応させていただいているところです。
黒や茶はよくお伺いする色ですが、時々グレーやネイビーで受け賜わったり、赤やピンクということもあります。
しかし、今回はたまたま綺麗なバッグができそうな青と赤で同サイズのワニ革のご用意ができました。
お客様からは、その2枚を使って、一つのトートバッグをお作りになりたいというご要望をいただきました。
青と赤のどちらも少し薄めのパステル調で、2色を並べるととても上品な組合せになっているところが魅力の一つでした。
バッグのどの部分にどちらの色を使うかということを、お客様と綿密にお打合せをし、最終仕様を決めました。
こんなバッグ、作ったことはありませんでした。
完成品を見た時は、私自身ちょっとした感動を受けました。
今回の2色の組み合わせですが、どこかで見たような気がして仕方ありませんでした。
実は、今年の6月にイタリアへ行った際、ミラノで「最後の晩餐」の絵を見てきました。
後になって、そこに描かれていたイエス様の服の色が薄い青と赤で、今回のワニ革の2色の組合せと同じ様だったことに気が付きました。
何かぞっとするような偶然でした。
青と赤で遠目からはオモチャのようなバッグですが、近寄って見ると高級素材を使った綺麗なバッグ。
比喩的に表現するのであれば、軽い話をしているように見えるのですが、よく聞いてみると実は貴重なお話だったというような感じでしょうか。
ちょっとしたお洒落じゃないですか?
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