2022年1月23日日曜日

シボリ型押し牛革エイ革バッグ

私どもダーミジャパンは、ワニ革を使った「靴」と「バッグ・革小物」のメーカーです。

基本的にはワニ革なのですが、バッグのオーダーメイドではお客様のご希望を最優先とし、牛革やオーストリッチなど他の調達可能な皮革ででもご用意させていただきます。



今回はオープントップのシンプルなトートバッグをお作りしましたが、素材はこれまでにない変則的な2種類の革の組合せとなりました。



まず、胴の中心部は赤茶色の型押し牛革です。



型押しとは言っても、一般的な型押しではなく、全身を鎧の様なウロコに覆われたセンザンコウという野生動物の皮に模して、シボリ型押しという特殊技法で加工された牛革です。


そして、牛革以外の縁部やマチの側部には、お客様からのご要望でエイ革を使っています。

エイはスティングレイやガルーシャと呼ばれる軟骨魚類。

スティングレイはエイの英語訳ですが、ガルーシャは18世紀フランスの革職人ジャン クロード ガルーシャの名前から、加工されたエイの革をガルーシャ(Galuchat)と呼ぶ様になったそうです。

エイ革は希少価値が高く、耐久性、防汚性、耐水性に優れるものの、革自体が大変固く、職人泣かせの素材です。



単純な裁断にも時間がかかり、特に曲線部のカットには相当苦労します。

基本的に縫製も手縫いで、まず特殊な器具で細い溝を作り、そこに針を通す穴をあけ、手で縫っていくのですが、手慣れた職人さんでもその製作過程で頻繁に針を折ってしまうそうです。



エイには背中の中央部に「スターマーク」や「スティングレイハート」と呼ばれる白い斑点が並んだシンボルマークがあります。

これにより、エイは古くからラッキーフィッシュとして重宝され、泳ぐ宝石とも言われてきました。

スターマークは、エイの光を感知する感覚器官の一つで、一匹から一つしか取れません。

今回のトートには、スターマークが側部の両方に一つずつ付いています。



底部もエイ革です。

側部と同様に、底部の中央にもスターマークが一つ付いていて、それを守る様に縁に沿って6つの底鋲がはめ込まれています。



ここがこのバッグの私が個人的に一番好きなところですが、上部から見ると、持ち手にもセンザンコウの型押しが使われているのが分かります。


内側は、若草色のカーフ(牛革)になっています。



シボリ型押し牛革にエイ革で縁取りされたトートバッグ。


シンプルな形状ですが、世界にひとつしかないバッグになっていると思います。



私どもで用意する商品は、一つの作品と呼ばれるレベルに仕上げたいと常に願っています。

ですから、ご依頼のものをただお作りすること、それだけを業務とは考えていません。

素材と製法ともに高い品質で、熟案されたデザインにより、お客様に感動をもお届けする、それを優先事項と心掛けています。

さて、今回はお届けできたでしょうか。

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