靴の修理を「リフォーム」と呼ぶかどうかは分かりません。
一般的には建物の改築や改装のことを指す和製英語だそうですが、この靴の場合、リフォームという言葉がピッタリくるような気がしました。
修理して形を直し、それをただキレイにするのではなく、履き心地も改善されたのです。
今回の靴は、リフォーム後、決して新品の様になった訳ではありません。
しばらく履いてヴィンテージの風合いが出たクロコ革のアッパーに、機能向上のために「返り」の良い新たな形状のアウトソールが取り付けられました。
革に傷んだ部分はなかったので、リムーバーで汚れをよく落とし、栄養を与え磨きをかけたところ、予想以上に良い具合になってきました。
元々この靴は、2015年に限定販売したドレスタイプのクロコスニーカー 外ハネ式の no. 3575ブラウンで、自分用に一足個人で購入したものでした。
発売時には、アッパー革にマッケイ製法で取り付けられた赤いミッドソールの下で、厚めの白いEVA製のラバーソールがクッション性を高める役割を果たしていました。
その赤いミッドソールと同色の靴ヒモと、ブラウンのクロコ革とのコントラストも良い感じでした。
no. 3575と同時期に販売した、アッパーをブルーでグリーンのミッドソールの内ハネ式とも当時は人気を二分しました。
その後、私の外ハネ式はよりビジネス仕様に近づけたいと考え、アウトソールをブラックのものに付け替えてもらいました。
ただ、オリジナルデザインのソールは厚めだったために「返り」があまり良くなく、長時間履いた時の履き心地に影響し、時が経つごとに外出時に靴棚から選ばれる回数は減っていきました。
先日、靴棚を整理した際にこの no. 3575を見つけ、棚スペースを有効活用したかったので、次の3つから選択をすることにしました。
1) ネットで安く売ってしまう
2) それさえ面倒なら捨ててしまう
3) リフォームする
しかしよく考えると、このスタイルは今後生産予定のない貴重品で、しかも丈夫に作ってあり、キズやステッチのホツレもなかったので、リフォームすることに。
腕の良い修理職人さんというのは、機械の取扱いや縫製/接着などの技術が高いと言うだけではなく、熟練した対処能力と必要な部材を調達する独自ルートを持っていることが重要です。
そう言った意味では、ウチでお願いしている修理の職人さんは一流です。
何をどうしたいかという相談をすると、的確な作業と必要部材をいとも簡単に選定します。
短時間で靴を修理してくれる駅前のスタンドなどでは「それはできませんよ。」とお断りされる様なことでも、彼なら適切な解決策を提案してくれます。
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