前回に続き、先日の名古屋出張でのお話です。
東京を発つ前から既に南西方面から台風が北上してきており、その期間中に何らかのトラブルがない様にと願いながら始まった出張でした。
特に台風が日本列島に最も接近する予想の出張最終日に、帰りの新幹線が途中で止まることがないだろうかと、それが気が気でなりませんでした。
ただでさえ東京-名古屋間のじっと座っていなければならない2時間の我慢が辛い私ですので、途中で列車が止まるようなことがあったりすると、とてもじゃありませんが耐えられません。
しかし、人の心配をよそに、最終日は朝から出張中初めての晴天で、この時は助かったという思いでいました。
訪問先で広げた展示品などの撤収を少し早めの18時半頃から開始し、およそ1時間ちょっとですべての作業を終了後、20時過ぎの新幹線に飛び乗ることができました。
私は大きめのスーツケースを持っていましたので、座席指定は特大荷物持ち込みアリで予約し、進行方向に向かって一番後ろの席で背もたれの後ろのスペースに荷物を置くようにしていました。
AからEまで横に並ぶ席で通路側のDを取っていたのですが、隣の窓側のEの席では相撲取り並みに太った男性がPCに向かい作業をしており、私の席の上にはこれまた大きなリュックサックが置かれていたのです。
「ここは私の席ですが」と伝えると、最初は恐縮した様子ですぐに荷物を席から降ろし、自分の股の間に差し入れて、彼は作業に戻りました。
しかし、ただでさえ太っているのに大きな荷物を足で挟むと、彼のこちら側の膝は大きく私の席の方にはみ出してきます。
自分のスペースでゆっくりと休みたかった私は、「その荷物、上の棚に置くかどうかしたらどうですか」と伝えると、荷物を自分の方に引き、足をつぼめようとはするものの、そんなことで間に合う程十分なスペースはありません。
しばらく黙っていると、その太った男は通りかかった車掌に他の席は空いてないかと尋ね、車掌は同じ列のAとBの席が今なら空いているので移動しても構わないと返答しました。
そしてその男はそのままPCと荷物を持って立ち上がり、私をにらみつけ、「移動してやるよ」と2度言い放ち、通路をはさんだ反対側の端の席に移って行きました。
結果的に隣に人がいなくなって楽になったのですが、その余計な一言が私のスイッチを入れてしまい、少しずつムカムカする気持ちが沸き上がってきました。
言われっぱなしでは済まさないとばかりに、背もたれのテーブルを出し作業を再開させた彼を、私はしばらくの間にらみつけていました。
我々の間のCの席に座り、袖口から伸びた腕にファッションタトゥーをのぞかせた、ちょっと危なそうな男性が彼を飛び越えた先への私の視線に気付き、にやっと笑ったのが目に入りました。
しかし、その後その太った男はPCから顔を上げ、こちらを向くことはありませんでした。
仕方がないので、「デブ君、今回は許す。次回からは言葉に気を付けろよ。」という言葉を心の中にとどめ、私は熱くなった気持ちをおさめることにしました。
その男の身長は私よりも高く、相当な体重で、もし戦ったら私の方がノックアウトされていた可能性もありました。
おかしなことにならずに良かったのかも知れません。
長かった旅の終わりに変なオチが付いてしまいました。
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