私は以前アメリカの小さな都市に住んだことがあります。
ご存じの通りアメリカは車社会で、当時は飲みに行く時さえマイカーで出かけ、少しばかりの飲酒運転は大目に見られていました。
たとえ警察に止められても、一本の線をまっすぐ歩いたり、両手を広げ片足で何秒か立つなどのテストを受け、それに合格すると無罪放免になることもありました。
私は一度少し飲んで運転した際にパトカーに止められ、ちょっとヤバいかなと思ったことがありました。
酒を飲んだかと聞かれ、「No」と答えると、「本当か?」と2度尋ねられました。
しかし、たまたまそこが私の自宅前で、免許証の住所を見た警官が私の家を指さし、「お前ここに住んでるのか?」と言われ、その場は許してもらえました。
最後にその警官から、「一番良いのはウソをつかないことだぞ。」と言われ、肝を冷やしたことは忘れられません。
車を止めた路上がそのままいつもの駐車スペースだったため、そのまま歩いて帰りました。
さて、アメリカでは路上駐車が許されています。
とは言え、どこの路上に駐車しても良いという訳ではありません。
路上駐車にはルールがあり、歩道の縁石で色分けされています。
例えば、縁石が白で塗られているところは、人を乗せ降ろししたりする短時間の駐車だけが可能だったり、黄色は荷物や人の乗せ降ろしのみ。
赤は停止や駐車は常に禁止で、青は障害者用のスペースになっています。
そして、駐車できるスペースでさえも「Street Sweeping」と称し、曜日と時間帯が記された駐車禁止の標識が出ています。
その時間帯には清掃車が道路を掃除に来るので、その日のその時間に駐車していると違反となり、罰金の対象となってしまいます。
一度、私は若気の至りから、自分の車をしばらくの間、同じ場所に放置したことがありました。
気付くと、ウィンドシールドワイパーに複数の違反切符が束になって挟まっており、罰金の合計は数百ドルに及んでいました。
警察から督促状も届いており、その時点でもし警官に止められ、免許証を照会されると逮捕されていた可能性もあったそうです。
すべての違反切符を持って裁判所に出向き、「駐車違反によりこれだけの罰金を受けていますが、支払いが困難です。」と訴えると、総額が予想以上に減額され、驚きました。
減額された罰金をその日の内に支払い、難を逃れることができたのでした。
前段の通り、路上駐車は可能だったのですが、帰宅が遅くなると、広いアメリカとは言え、住宅街の駐車スペースは埋まっており、自分の車を止める場所を探すのに苦労します。
酷い時には一時間以上探しても見つからず、結局自宅から遠く離れたところに駐車し、長い距離を歩いて帰ることになったりするのでした。
これは先日見た夢でのことです。
車で帰宅した私は駐車スペースが見つからず、自宅の近所を延々と運転して回っていました。
当時の辛かった記憶が、心の底に残っていたのかも知れません。