もう少しすると暑い暑いと言って、外出時には太陽からの日差しを避けながら街中を移動する季節がやって来ます。
ここ何年も私はアウトドアを楽しむ活動をしていないせいか、日に焼けて肌の色が変わるということがありません。
子供の頃は海水浴やら山に行っては川遊びだので、毎年夏になると日に焼けるものでした。
この数年間は、コロナのせいで海や山に連れて行ってもらえず、その時期にしか作れない日焼けの思い出を奪われてしまった子供たちがいると思うと、少し哀れに感じてしまいます。
タンは「日に焼ける」や「褐色」という意味を持ちますが、革を扱う業界では「なめす」という意味も含まれます。
今回は色を表しているので、その意図をくみ取って訳すと「日に焼けた肌」の色となるでしょうか。
タンは一般的な靴にはあまり見かけませんが、ファッション的には合わせやすい大人向けのシャレオツな色です。
今回の仕上げ職人さんは上手で、単色のドラム染色にもかかわらず、甲部先端のワックス掛けで良い感じのグラデーションを出しています。
パターンオーダーの場合、組み上げたアッパー革をドラムに入れて染色する際に、革ヒモも一緒に入れて、同色にすることができます。
ただ、染料の色にもよるのですが、革ヒモの方が染料の吸収が良いようで、革ヒモの色がワニ革よりも少しだけ濃いめに出ることが多いようです。
ダーミのクロコスニーカーでは複数枚のワニ革を使って、複数足のスニーカーを作りますので、常にそうなるとは限らないのですが、踵部には小さな斑の部位が来る傾向があります。
靴がより締まって見えるからではないかと思います。
さあ、これから始まる太陽の季節に、日焼け色と呼ばれるスニーカーで夏を満喫していただければと思います。
日焼けと聞くたびに、いつも思い出すことがあります。
まだ学生の頃、留学先のクラスで南米出身の同級生が、週末遊びに行って日に焼けてしまったと話ながら近寄って来たことがありました。
私が「どこを?」と聞いてしまったものだから、彼女は「あなた分からないの?」と顔を近づけて見せようとした仕草が記憶の隅からよみがえります。
時間の経過とともに、会えなくなってしまった当時仲が良かった何人かの内の一人。
奇跡でも起こらない限り、もう会うこともないと思いますが、元気にしているでしょうか。
南米の人に多い、少し濃いめの肌のかわいい女子でした。
ルイザ、ごめん。
あの時の私は、本当に日焼けしていることに気付かなかったのです。
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