今回お作りしたバッグはある意味で、貴重品です。
センザンコウのショルダーバッグと題しましたが、ではまずセンザンコウのご説明から。
センザンコウはインドや東南アジア、またアフリカにも生息するアリクイの仲間と言われていた哺乳類ですが、分類はセンザンコウ科だそうです。
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特徴は、体毛から進化したマツボックリ状の角質のウロコに覆われていて、そのウロコの縁が刃物のように鋭く、長い尻尾を振り回すことで攻撃することもあるそうです。
そして、今回のバッグに使われた革ですが、本物のセンザンコウではなく、ブタ革を使ったセンザンコウの型押しです。
センザンコウのウロコを模した革ですが、ワニの模様を型押しした牛革などとは少し違い、この型を作るためには熟練した職人の技術を要するという、ある種芸術品レベルの素材なのです。
そして、さらにこのセンザンコウの型押しを作る職人さんが既に引退してしまい、もう同じものを作る人がいないのだそうです。
幸運なことに、私どもはこのセンザンコウの型押し革の最後の1枚を入手することができました。
昨年、この革を私どもがお世話になっているお客様のお一人にお見せする機会がありました。
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この革をお見せした瞬間、お客様にこの革が使われたショルダーバッグのイメージが形成されたとのことで、今回ショルダーバッグをお作りすることになりました。
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バッグ胴部の両面にセンザンコウの革が使われているのですが、お客様のご要望で、片面は模様が上向きで、
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もう片面は逆向きになっています。
同じ革を使っているのですが、向きを変えるだけでバッグの持つ雰囲気が少し変わってくるのがお分かりいただけるでしょうか。
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最初にこのバッグのデザイン作成段階のお打合せでは、柳行李のトランクのイメージでとのご要望を受け賜わりました。
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縁取りや四角い底が、堅牢な作りになるようにとのことでした。
この四角い底の部分はミシンでは縫えないため、結果的にこのバッグを作製した職人さんは時間のかかる細かな手縫い作業を選択しました。
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バッグの開口部を止める飾りヒモは、別の専門職人が三つ折りテープを使った継ぎ目のないブレーディング作りでご用意しました。
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胴部だけではなく、ショルダーストラップにもセンザンコウの模様が入った革が使われています。
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ストラップを装着すると、この様にビンと立ちます。
最初にこのシェープを見た時に、綺麗なバッグだと感じました。
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センザンコウの革も素晴らしいのですが、私がこのバッグの一番好きなところは実はこのサイドの部分です。
ストラップのつなぎ端を通すバックルはストラップを外してもブラブラとしないように特注品を使用しました。
私どもは、今回この様なバッグ作りにかかわれたことに喜びを感じています。
センザンコウの革の職人さんもご満足いただける作品になったのではないでしょうか。
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