最近どういう訳か、ある程度年齢を重ねた今、子供の頃の記憶がふっと甦ることがよくあります。
そんな中に心苦しい思い出が隠れていたりします。
それは、地方都市の小学校3年生か4年生くらいのこと。
先生が運動能力測定の様なことを始めるというので、皆で机と椅子を端に寄せ、教室の中央に大きなスペースを作りました。
生徒の一人づつにいろいろなことをさせ、先生はペンとノートを持ち、それぞれの評価を記入していきます。
その中に教室の端から端までスキップをするというものがありました。
半分ほどの生徒がスキップをし終えた時、教室内がザワザワし始めました。
一人の女の子の、スキップができないということが暴露されてしまったからでした。
片方の足で2回ケンケン(片足飛びのこと/方言だと思います)して、次に反対の足で2回ケンケンし、それを繰り返すことで前に進むスキップ。
普段は並みより少しだけ活発な子でしたが、その時は何度もやり直させられ、片足で2回跳んだ後反対の足が続いて出て来ないのでうまく体重移動ができず、顔を真っ赤にしてとても恥ずかしそうでした。
特にその子に非がある訳でもないのに、クラス全員の前で恥をかかされるという異様な雰囲気になってしまいました。
しかし、配慮の欠片もない10才前後の子供達は、肉食動物が餌を見つけたかの様に、ここぞとばかりにワイのワイのとその女の子を笑いものにします。
普段は物おじせず、明るく話をする女子にこんな欠点があったのかと意外な驚きが、その事象をより大きくしてしまったかも知れません。
一人の生徒が攻撃の的となった場合、教育者であれば本来それを止めるべきですが、先生はそうはせず、何度かやらせればできるようになると思ったのか、更にスキップすることを命じました。
結局、その女の子は最後までスキップができないまま、運動能力測定は終了しました。
そこから、彼女はスキップができない女子のレッテルを貼られ、クラスメイトから事あるごとにからかわれるようになってしまいました。
それ以降、その子の周りの2、3人の優しい女子が何とかしてやろうと、一緒に休み時間にスキップを練習する光景を何度か目にしました。
子供の頃は性の違いが仲間の組み方に影響し、男の子同士であればドッチボールや草野球などスポーツを通して大小の差はありながらも、ある程度満遍なく付き合いが発生します。
しかし、男子はクラスすべての女子と話をするかというとそうでもなく、また女子からも同様にまたそれ以上に難しいものがあったと思います。
しかし、相手が中傷や差別の対象となった場合、男女の差なく子供達は一気にその距離を縮めてきます。
私はその子とは隔たりなく話をする仲でありながら、その運動能力測定の場ではスキップができないことをはやし立てた罪深い子供たちの一人でした。
小さな心を傷付けられた女の子は、後から考えると、しばらく心中穏やかではない時間を過ごしたと思います。
後日、私はその女の子に呼び出され、「ホラ、できる様になったよ。」と飛び切りの笑顔でスキップをして見せてくれました。
なのになぜかその時私は、「なんだそんなことか、くっだらねー。」と言って、興味のない態度をとってしまったのです。
なんであの時ちゃんと褒めて上げなかったのか?
何十年経った今でもそのことを思い出すと、心苦しく思ってしまうのです。
2023年5月2日火曜日
子供の頃の思い出
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